私は大学卒業以来40年間以上、脳神経外科医として診療経験を積んできました。脳疾患にかかった患者さんは、私のような脳神経外科医もしくは神経内科医などの限られた専門医が診療するのが通例ですが、こうした患者さんの多くは実に多彩な脳以外の病気を併発したり、すでに基礎疾患(持病)として持っておられました。ですから私たちは必然的に脳疾患のみではなく、こうした全身の様々な疾患や障害をあわせて診療する機会に恵まれておりました。また、今でこそ救急医療を専門とする救急医や救急科専門医が浸透してきましたが、以前、いや現在でも、救急医療は各科の医師が自分の専門領域の枠を超えて、交代で救急医療に携わっているのが現状です。私もこれまで多くの時間を救急医療に携わり、とてもたくさんの貴重な経験と知識を得られたと思います。疾患や病態の多様性、個人によってその表現の仕方がいかに多彩であるかも知ることができました。
私はこうした医師としての経験を積む中で、脳というひとつの臓器の病気にメスをふるって立ち向かうだけではなく、患者さんにより近い立ち位置で全人的な診療を行いたいと強く思うようになりました。そこで自分のクリニックを開設して、“脳神経疾患を診れるかかりつけ医”を目指すことにしました。
それが「脳とからだの くらしまクリニック」の命名の由来であります。
現在私のクリニックには、感冒やインフルエンザから、頭痛、めまい、しびれ、認知症、そして脳卒中や脳腫瘍に至るまで様々な患者さんが受診されます。自分の専門分野から外れる疾患に関しては、論文や教科書で勉強し、判断に迷うときは躊躇なく専門医の先生と連携して診療を進めています。だから、従来よりむしろ勉強時間が増えました。だから当日の診療の復習をして、翌日の患者さんの予習をして家路につくのが夜中の0時に及ぶことは珍しくありません。医学、医療の奥深さを痛感している毎日です。でも楽しんでおります。
以上のような診療内容から、必然的に様々な領域の専門医の先生たちと連携をとることが不可欠となります。そこで、医療連携においては、医療ネットワークシステムである「信州メディカルネット」「さらしなネット」に加盟して、長野赤十字病院や南長野医療センター篠ノ井総合病院と診療情報、画像、検査結果を共有し、より効率的な医療連携を図った診療を図っております。必要なケースでは信州大学病院、新潟大学病院、関東地方の大学病院にも積極的に紹介して、その患者さんに必要な方向性にしたがって実践するよう目指しております。ともどうぞ末永くよろしくお願い致します。
院長 倉島 昭彦