認知症にはさまざまな種類がありますが、中でも最も比率の高いアルツハイマー型認知症を例にとると、進行は非常に遅く、兆候も症状も観られない水面下の時期も含めると、10〜25年ほどの長期間をかけて徐々に進行していきます。現時点で、一度発症してしまうと後戻りすることはなく進行は止まらず、多くの場合完治させるのが難しいのが現状です。
認知症が発症する前段階には「軽度認知障害(MCI)」という段階があり、これは認知症とは別のカテゴリーと考えられています。認知機能に若干の衰えがあるものの、日常生活にはほとんど影響のない状態と定義されています。このMCIをそのまま放置すると、年間約10%前後、5年後には40〜50%の方が「認知症」へ進行すると言われています。認知症は「脳の生活習慣病」という側面もあることから、このMCI段階で生活習慣の改善等の適切な対策を行うと改善も期待でき、数十%(報告によりさまざまで14〜44%)の方が健常な状態まで回復したという研究報告もあります。
当院では、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβペプチドの蓄積を間接的に評価する血液検査で、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを調べる『MCIスクリーニング検査』を採用しております。また、アルツハイマー病の発症に関連する遺伝子を調べるAPOE遺伝子検査も1回の採血で同時に検査することができます。MCIスクリーニング検査、APOE遺伝子検査は、認知症の早期発見を手助けする検査だけではなく、脳卒中発症予測にも関連があると考えられています。医師の診察と認知機能の簡易的な質問形式の検査(MMSE)を受けていただいた上で採血致します。
さらに2023年9月1日より、『認知機能セルフチェッカー』というMCI(軽度認知障害)のリスク評価に特化したヘルスケアサービスを導入しました。「VR」と「視線追跡技術」という2つの最新技術を活用し、利用者一人でも簡単にチェックができるのが特徴の検査で、「物忘れが最近気になる」とか「認知症の心配ある」などと医療機関の受付で問診されることを回避して気軽に申し込んでいただける点も長所です。
興味のおありの方はインターネットで https://cog-selfcheck.jp/clinic/ をチェックしてみて下さい。
なお採血検査(
MCIスクリーニング検査、APOE遺伝子検査)、
認知機能セルフチェッカーは自費検査となりますので、費用等の詳細については受付までお問い合わせ下さい。